DHAがアルツハイマー抑制
2013年2月22日、DHAに関してこんな大きな発表がありました。
その日の新聞記事です。
認知症の中で最も多いアルツハイマー病患者から作製したiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って、青魚などに多く含まれる「ドコサヘキサエン酸(DHA)」が同病の発症予防に役立つ可能性があることを確認したと、京都大iPS細胞研究所の井上治久准教授らのチームが発表した。
イワシなどの青魚を食事でとることとの関係はこの研究では不明だが、新薬の開発などにつながる成果。
22日付の米科学誌セル・ステムセルに掲載される。
アルツハイマー病患者の脳内では、Aβ(アミロイドベータ)と呼ばれるたんぱく質の「ゴミ」が過剰に蓄積することで、「細胞内ストレス」という有害な現象が起きて神経細胞が死滅し、記憶障害などを引き起こすことが知られている。
研究チームは50代~70代の男女の患者系4人の皮膚からiPS細胞を作製。
それを神経細胞に変化させ、Aβが細胞内外に過剰に蓄積した病態を再現した。
このうち、細胞内にAβが蓄積した2人の細胞に低濃度のDHAを投与した場合と、投与しなかった場合とで、2週間後に死滅した細胞の割合をそれぞれ比較。
その結果、DHA投与の場合、細胞死の割合は15%で、投与しなかった場合は2倍以上の32%だった。
井上准教授によると、低濃度のDHAの投与が細胞内ストレスを和らげ、細胞死を減らすらしい。
DHAの濃度を低濃度の4~20倍にすると、ストレスを強める結果が出たという。
iPS細胞を使ってアルツハイマー病の研究をしている国立長寿医療研究センターの柳澤勝彦・研究所副所長の話
「DHAが細胞死を抑制するという研究成果は興味深く、仕組みをさらに詳しく調べてほしい。アルツハイマー病の原因として知られるAβの蓄積が、細胞レベルで確認できた意義も大きい。」